2018 年 74 巻 5 号 p. I_421-I_426
樹林化した河道では河床が二極化し,硬化した河床が魚類の生息場に与える影響が懸念されるが,土砂動態を含めた形で議論されることは少ない.要因として広い浅水域での水面下の地形,流況および土砂動態の調査が一般に困難である点が考えられる.本研究では航空レーザー測深(ALB)から得られる広域の面的な高解像度の地形情報に土砂水理学の知見を合わせて,旭川・祇園地区の浅水域でのアユの産卵場の適性評価を試みた.平水時の流況と浮き石を現地調査し,また,数値解析に基づき出水時の砂礫の移動限界から河床環境の形成を検討した.その結果,流況解析は妥当であり,中小規模洪水が産卵場の適性範囲に与える影響を面的に推定できた.また,現地の浮き石は河床骨格の礫粒子の流送ではなく,礫間隙の砂粒子の流出や堆積により決まることが示唆された.