2018 年 74 巻 5 号 p. I_457-I_462
流域より流出されるAlは,水浄化機能や水環境変化に寄与する元素であり,河川環境を評価するため重要な指標になりうる.本研究では,阿武隈川支川の荒川と阿武隈川の合流部を対象にAlの供給源,および支配的要因を把握するため生産,動態を求める検討を試みた.検討は,化学的なアプローチより,微量元素,イオン組成を流域の時空間を比較することで進められた.検討より得られた結果は以下のとおりである.(1) Alの主要な生産域は火山性の流出と風化度(CIA)の高い荒川支川の白津川になることが明らかにされた.(2) Alの生産と浄水効果は,季節特性や地質などの河川環境の特徴に影響されて量的,空間的に変化することを示唆する結果を得た.