2018 年 74 巻 5 号 p. I_847-I_852
空石積み護岸は日本の伝統的な河川護岸として長く用いられ,景観デザインや生態学的観点からは,空石積み護岸の需要は依然として高い.しかし,その強度や設計方法についての知見がほとんどなく,護岸工法として選択されにくい現状にある.空石積み護岸を設置するためには,その破壊形態や強度の科学的検証を行う必要がある.空石積み護岸の破壊挙動の一つである護岸背後の砂の吸い出し現象を水理実験により検証した.その結果,護岸の吸い出し破壊時の転倒挙動について把握できた.護岸下部からの吸い出しが顕著であることや,裏込め材を充填することで吸い出し現象を防止できること,裏込め材の粒径は小さく,充填幅が大きいほど効果があること等を明らかにした.