2018 年 74 巻 5 号 p. I_931-I_936
本研究では,上流側から掃流砂として輸送されてきた砂礫が,河道湾曲部の粘土河床上で生じる浸食・堆積のプロセスに及ぼす影響を実験的に明らかにすることを目指した.ここでは,給砂量や通水時間を様々に変化させた一連の系統的な実験を行った.実験の結果,輸送されてくる砂礫の量の違いにより,粘土河床の変動のプロセスに変化が現れ,次のような特徴的な河床構造となることがわかってきた.砂礫の接触に伴い粘土河床の浸食が促進され,粘土河床は内岸付近ほど顕著に浸食を受ける.ただし,ある閾値を超えるほどの量の砂礫が輸送されると,浸食された内岸側の粘土河床に砂が入り込み混合層を形成するほか,さらにその上に砂のみの層が形成されることもある.このように河床が砂礫で被覆されると,それ以上の浸食は抑制される.ただし,上流からの砂礫の供給がなくなると,砂層は流出するため粘土河床が露出し,さらに浸食を受けることになる.