2018 年 74 巻 5 号 p. I_937-I_942
本研究の目的は,粘着性土で構成された河床上に模擬巨石を配置し,上流側から輸送されてくる砂礫の捕捉効果と河床変動メカニズムを解明することにある.多摩川や鬼怒川で土丹層が局所的に露出した区間がみられ,これが河川管理上問題となっている.この土丹層は粘着性土が固結化してできたものである.本研究は,将来的には土丹層が露出した区間を砂礫河床に回復させる対策に資する基礎研究となるように考えて行ったものであり,ここでは粘土河床を対象に実験を行った.結果として,模擬巨石を河床上に配置し上流側から砂礫を供給すると,粘土河床上に砂層を形成させることができ,粘土自体は遮蔽を受けて更なる浸食が生じなくなること,形成された砂層はその後の水流の作用を受けて浸食されるが引き続き砂礫の供給があれば再生されること,などを明らかにした.