2019 年 75 巻 1 号 p. 308-316
平成30年7月に発生した西日本豪雨により,太田川水系三篠川では浸水被害が発生すると共に,甚大な橋梁被害が発生した.本研究では,三篠川の橋梁被害を総合的に検討するために,今次豪雨による三篠川の全94の橋梁被害状況調査を行い,その結果に基づいて橋梁被害の縦断分布特性を把握することを目的とした.これらの実測データを用いて,橋梁被害状況に対する水理学的・構造的要因の影響について幅広く調べた.その結果,94の橋梁のうち,落橋は11,一部損壊は11であり,全体の約1/4の橋梁に被害が発生した.これらの結果に基づいて橋梁弱点箇所を抽出するための評価指標を試行的に検討し,各地点の横断面積を集水面積で除した無次元断面積が有用な指標の一つであることが示唆された.