2019 年 75 巻 2 号 p. I_1465-I_1470
洪水氾濫が発生した際,浸水深の空間分布を迅速に推定することは緊急対応にとって不可欠である.本論は,現場からの定性的な浸水関連情報をもとに,浸水深の空間分布を推定する技術を開発する.既往の手法に比べ,破堤地点・破堤時刻の入力など,実際の運用上困難となり得る課題を解決した.同化に必要となる事前計算には,浸水想定区域図の作成に用いられた浸水解析の結果を活用した.これにより,複数の地点で離散的な浸水深の情報を入力することで,直ちに浸水深の空間分布を推定できる仕組みが完成した.提案手法を,平成30年7月豪雨で堤防が決壊した岡山県の小田川下流域に適用した結果,領域内に4~8地点程度の定性的な浸水関連情報があれば,その空間分布を的確に再現できること,また7~3%の相対誤差で湛水量を推定できることが分かった.