2019 年 75 巻 2 号 p. I_181-I_186
広島県では山麓まで開発が進んだ扇状地に住宅地が存在し,その多くが土砂災害警戒区域に指定される.このような地域は避難経路となる道が限られて,豪雨時に警戒区域外への移動が難しくなる.そのため,警戒区域内での危険度分布を把握して,家の付近で一時的に避難できる安全な場所を把握することが防災上求められる.本研究では,数値シミュレーションを用いて,土石流による扇状地の住宅地での危険度分布を検討した.シミュレーションでは土砂量や流量等の規模と,地形条件の設定方法が結果の氾濫や堆積に影響する.土砂量や流量は行政の定める指針を基に複数段階の規模を設定した.また,土石流事例では建物の存在により土石流挙動が変わる一方,建物が破壊される場合も多い.そこで,地形データには全建物を考慮するDSM,並びに全建物が破壊されたシナリオで地盤高のみを考慮するDEMを用いた.複数シナリオでの計算結果を重ね合わせた頻度分布から,土砂警戒区域内の危険度分布を示した.