2019 年 75 巻 2 号 p. I_49-I_54
水害常襲地とその周辺部の社会特性を,地形特性との関係を考慮しながら解明することは,地域特性に応じた土地利用や治水整備のあり方を検討する上で重要である.本研究では水害常襲地を含む行政区の地形分類を行い,地形分類ごとの人口動態の違いを分析した.その結果,人口密度と人口変化率は地形分類ごとに偏りがあった.さらに,地形図判読や視察による詳細な検討により,中小河川・平地型では都市の拡大による浸水リスクの増大がある,中小河川・狭隘型では宅地から離れた人的経済的被害の少ない区域が浸水している,大河川・狭隘型と中間型では新たな治水整備の進行や遊水地的な利用による浸水域の形成がある,というように,地形分類ごとに水害常襲地の社会的特徴の違いがあることがわかった.