2019 年 75 巻 2 号 p. I_679-I_684
熱帯塩水養殖池において,特に雨季の降雨および降雨後の日射条件により発生する可能性がある熱塩対流による水域蓄熱現象について,現象に関わる気象条件,水環境条件および水域内蓄熱特性について検討することを目的として現地観測を行った.現地観測結果から,蓄熱現象は降雨により形成される塩分成層状態が,下層高塩分層,塩分濃度勾配層および上層低塩分層からなる3成層状態となり,かつ,その後の日射による熱供給が行われた場合,現象発生の可能性があることを明らかにした.また,蓄熱現象が発達する場合,塩分濃度勾配層が断熱効果を有し,下層高塩分層からの放熱を抑制することを明らかにした.さらに,蓄熱現象の解消条件として,風および降雨による成層状態解消と,降雨流入に伴う下層高塩分層の放熱が重要であることを明らかにした.