土木学会論文集B1(水工学)
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特集(令和元年風水害報告特別企画) 和文論文
d4PDFを用いた2019年台風19号による氾濫水系数の再現期間とその将来変化分析
田中 智大小林 敬汰立川 康人
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2020 年 76 巻 1 号 p. 159-165

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抄録

 全国一級水系109流域で構築した降雨流出モデルとd4PDF降雨データを用いて令和元年台風19号による洪水流量と氾濫水系数の再現期間およびその将来変化を推定した.鳴瀬川と阿武隈川を対象に同洪水の再現期間を推定した結果,過去実験ではそれぞれ534年と123年,4度上昇実験では32年〜100年と16年〜58年となった.東北・関東・甲信越地方の31水系を対象に,年最大洪水ピーク流量が同じ年に計画高水流量を超える同一年氾濫水系数を計算した.台風19号で直轄区間での破堤が発生した6水系以上が氾濫する再現期間は過去実験で400年,4度上昇実験では20〜30年となり,同一年の広域氾濫確率も増加することがわかった.中には,台風19号と同様の経路を通って13水系の氾濫をもたらした事例もあり,水蒸気量の増加による広域氾濫リスクの増加が示唆された.

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