2020 年 76 巻 1 号 p. 202-211
土地利用規制は,氾濫原内の暴露量そのものを低減させる根本的な水害対策の一つであるが,その実際の軽減効果や運用的な課題については十分に明らかになっていない.本研究では,令和元年東日本台風による千曲川堤防の決壊によって深刻な被害が発生した長野県長野市長沼地区を対象に市街化調整区域における浸水被害の特徴を建物立地の変遷や治水地形の関係から分析を行い,日本における規制誘導の課題について考察を行った.建物ポイントデータを用いた分析により,区域区分による開発抑制の水害リスク拡大防止の役割が確認されたが,開発許可制度による集落内での住家の新築や用途地域の指定や社会インフラの整備に伴う事業所等の開発によって,浸水リスクの高いエリアへの建物の進出もあり,運用上の課題も示された.