2020 年 76 巻 1 号 p. 284-294
令和元年東日本台風は東日本の広い範囲で観測史上1位の降水量を記録し,荒川水系だけで7箇所の堤防が決壊した.今後の河道管理では,下流へのリスク移動も含めた議論が必要である.そのためには河川と氾濫原の間での氾濫と氾濫戻りを把握する必要がある.その第一段階として荒川水系都幾川の堤防決壊時刻が堤内地氾濫量等に与える影響を検討した.
決壊時刻変化による野本の水位変化から,都幾川越辺川合流部付近の決壊は,越水後徐々に堤体が洗掘されたと考えられる.また,決壊時刻による氾濫量の変化から,都幾川の距離標6.5KP左岸の堤防決壊は10月12日の22時以降と考えられる.埼玉県管理区間の都幾川の距離標1.4KP右岸は,その下流の霞堤開口部からの浸水もあるため,堤防決壊有無は堤内地の氾濫量にほとんど影響しなかった.