2020 年 76 巻 1 号 p. 404-413
2019年10月12日から13日に日本列島に上陸した令和元年台風によって,千曲川では河岸侵食により河川沿いの幹線道路や橋梁などで甚大な被害を受けた.被害軽減対策のためには大規模洪水時において河岸侵食危険箇所の予測手法を確立することが喫緊の課題である.本研究では,湾曲部二次流,横断構造物下流の高速流部,構造物周辺の三次元流れ,および水面変動など河岸侵食を引き起こす要因となる流れ部で大きくなる乱れエネルギーに着目する.令和元年台風で河岸侵食被害が発生した千曲川及び平成30年7月豪雨で河岸侵食が発生した三篠川,瀬野川の3つの河川で,準三次元洪水流解析を行い,洪水時の三次元流れ特性と乱れエネルギーを調べた.その結果河岸侵食が発生した箇所のいずれも局所的に乱れエネルギーが極大値を取ることが分かった.