2020 年 76 巻 2 号 p. I_1039-I_1044
海面養殖の現場では,貧酸素水塊,低塩分水,水温上昇,赤潮等の問題が顕在化することがあり,養殖魚介の斃死・生育不良の事例が数多く報告されている.しかし現地での水質情報を詳細に知る術は少ないのが現状である.著者等は四胴型の自動航行船という計測システムを導入し,自動の水質計測を試みてきた.四胴型の自動航行船は風の中でも定点保持が出来る等,従来にないシステムであり,この四胴型自動航行船の持つ自動制御方法,航行性能を明らかにする.また,石川県七尾西湾のカキの養殖場において,この四胴型自動航行船により高密度・高頻度自動水質計測を試みた.計測によって明らかになった貧酸素水塊の消滅の過程および水温の季節変動を本報で明らかにする.