2020 年 76 巻 2 号 p. I_1081-I_1086
不透過型水制と透過型水制を組み合わせることで,下流に多様な流れ場を与えることができると考えられる.このタイプの水制をハイブリッド水制と呼ぶことにする.本研究では両者を鉛直方向に組み合わせた鉛直型ハイブリッド水制の水理的機能について実験的に検討した.上部透過および下部透過の2種類について,不透過部と透過部の割合を変化させ,水制下流の流れ構造を明らかにするとともに,背後への浮遊砂の堆積状況を調べた.水制下流では,直前の高さの透過・不透過形態に対応した流れが,鉛直混合と横断渦によって変化し3次元的な流れ構造となる.しかし,水制長の3倍程度下流では鉛直方向に一様化し,透過部分の割合に応じた減速を示した.水制下流の土砂堆積は流れ構造によく対応した形態となった.