2020 年 76 巻 2 号 p. I_1165-I_1170
2019年台風 19号時に都幾川の破堤地点では,粘土層が露出し下方侵食が妨げられていたことが確認された.こうした層化した難侵食層の露出は,上流方向への侵食を助長し破堤までの時間を早める可能性がある.そこで,本研究では,難侵食層が堤体侵食に与える影響を水理模型実験により明らかにした.
実験の結果,難侵食層の鉛直位置が1/4ZWO(ZWOは難侵食層が無い場合の裏法尻地点の残留土砂高)と2/4ZWOのケースでは,無次元越流水深h1/H(h1:越流水深,H:堤防高)が0.175の時にZi/ZWOが極小値をとる一方で,3/4ZWOでは単調減少となることを明らかにした.このことは,難侵食層の鉛直位置によっては,法尻付近の洗掘規模とその後の発達に対して危険となる越流条件があることを示唆している.