2020 年 76 巻 2 号 p. I_1171-I_1176
近年,気象の極端化の影響により記録的な豪雨が相次いでおり,全国各地で甚大な浸水被害が発生している.河川堤防決壊は,2019年10月に発生した台風19号の事例のように,甚大な浸水被害をもたらす災害の一つである.そのため,堤防決壊のメカニズムについて解明していくことは防災・減災上重要であると言える.著者らはこれまで,粘土・砂・礫より構成された模擬堤防を対象に,河川に貯水する基礎的な実験によって検討を行ってきた.その際,それぞれの含有比率を変化させることで,粘土と礫が決壊メカニズムに与える影響について検討してきた.本研究では,河川流れを再現した模擬堤防の決壊実験を行うことで,堤防の決壊プロセスに与える河川の流れの影響について検討している.