土木学会論文集B1(水工学)
Online ISSN : 2185-467X
ISSN-L : 2185-467X
水工学論文集第65巻
高津川における環境DNAを用いたアユの産卵活性評価に適した時間帯の検討
齋藤 稔乾 隆帝河野 誉仁赤松 良久中尾 遼平小林 勘太
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2020 年 76 巻 2 号 p. I_1315-I_1320

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抄録

 本研究では,潮差が小さい日本海流入河川である高津川において,環境DNAによるアユの産卵状況の把握に適した時間帯の解明を目的とした.アユの産卵期を通して,日中・日没1時間後・3時間後の1日3回ずつ,1〜2週間間隔で採水調査を行った.日中の環境DNA濃度の推移から,2019年は9月下旬と10月下旬が降下のピークであり,11月下旬には産卵が終了していると考えられた.海産個体の産卵盛期にあたると考えられる10月下旬には,日没1時間後のみ産卵が確認された.従って,産卵状況の正確な判断には,高津川においても日没1時間後に環境DNA調査を行うことが望ましい.ただし,その他の調査日では日没1時間後と3時間後で環境DNA濃度に差が認められず,日没3時間後の結果から産卵期の大まかな推定は可能であると推察された.

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© 2020 公益社団法人 土木学会
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