2020 年 76 巻 2 号 p. I_1333-I_1338
石礫の天端から砂面までの高さを表す露出高は,アユの採餌環境等,河床環境の評価に活用できる指標である.既往研究では,高コストのため広域のデータ収集が難しい露出高について,河床粒径分布から簡易に予測するモデルが開発され,面的な河床環境評価に活用できる道筋が示された.本研究では,このモデルの精度を高めることを目的に,モデル内部で設定された河床材料の粒径区分をより細かくした改善モデルを構築した.さらに,改善したモデルを複数河川の様々な河床条件に適用することで,従来のモデルに対する精度向上を検証した.この結果,ほとんどの河床条件下で,改善モデルの精度の向上が確認された.主に,従来モデルで粒径の範囲が広い大礫の区分(64mm以上 256mm未満)を細かくしたことが精度の向上に貢献した.この効果は二分割した場合でもそれ以上に分割した場合でもほとんど変わらなかったことから,改善モデルの選択には,精度と簡潔性も考慮して,総合的に判断する必要があるといえる.