2020 年 76 巻 2 号 p. I_1429-I_1434
分布型汚濁負荷流出モデルを用いてRCPシナリオに基づく気候変動影響予測シミュレーションを実施し,瀬戸内海の集水域から湾灘への淡水・汚濁負荷流出量の将来変化を評価した.現在気候とRCP8.5の将来気候におけるそれぞれ20年間の計算結果を比較したところ,湾灘別の長期平均淡水流出量に顕著な差はなかったが,現在気候に比べて将来気候の日平均流量・流況は,二極化する傾向が見られた.その影響により,将来気候の長期平均SS流出量は現在気候の1.2~1.7倍に増加した.しかし,COD,TN,TPの長期平均流出量にはほとんど差が見られなかった.降水に依存する面源負荷流出量については若干の増加を示したが,点源負荷流出量が卓越するため,結果的に大きな変化に繋がらないことが明らかになった.