2020 年 76 巻 2 号 p. I_271-I_276
環境省では熱中症予防を目的として全国約840地点を対象にWBGT情報を提供している.しかしながら,これらは点データであるため,観測の行われていない地域を含めた面的なWBGTを把握することは困難である.そこで本研究では,首都圏における広域的な熱ストレス評価を行うために,ひまわり8号の輝度温度情報を用いてWBGT推定式を提案することを試みた.ひまわり8号の輝度温度データは,WBGT地上観測値と相関の高かった熱赤外波長帯であるBand7,13,15を選定した.輝度温度には閾値を設定することで厚い雲の影響を除去し,重回帰分析からWBGT推定式を導出した.その結果,首都圏74地点のうち約75%の地点において,WBGT地上観測値との二乗平均平方根誤差が約3℃以内で評価できることが示された.