2020 年 76 巻 2 号 p. I_445-I_450
伝統的な河川技術である霞堤は,いくつかの種類があり,松浦川には下流域でよく見られる遊水地を有した霞堤がある.本研究では,松浦川の大川野地区の霞堤について,2019年8月に発生した出水を基に,平面2次元計算などによって,その機能を検証した.この結果,大川野の霞堤では,霞堤内に流入する洪水の流速は極めて遅く,霞堤内の水位はどの地点においても同じであることが明らかになった.また,顕著なピークカット機能は確認できなかったが,ピークを遅延する結果が得られた.これにより,大川野の霞堤は下流の治水機能より,現地の農地を保全する機能が大きいことが明らかになった.