2020 年 76 巻 2 号 p. I_619-I_624
2019年10月の台風19号では長野県千曲川で甚大な洪水氾濫および家屋被害が生じた.本論文は,長野市長沼地区の堤防決壊により生じた家屋被害と洪水氾濫流の関係を明らかにすることを目的に,数値計算により氾濫流の挙動を再現し,現地調査より得られた家屋被害状況に対して考察を行ったものである.決壊した堤防付近に着目した高解像度の氾濫解析を行うことで,甚大な被害を引き起こした氾濫流の2方向への流れを表現することが出来た.家屋の流失や損壊大は,氾濫流の流速が2m/s以上,浸水深が2m以上の個所で生じていることを示した.このような2方向の氾濫流の挙動は広域浸水範囲を対象とした氾濫解析では再現が難しく,事前の水平避難などを議論する際は高解像度情報を用いた検討が必要である.