2020 年 76 巻 2 号 p. I_745-I_750
近年,日本では,気候変動の影響により局所的な短時間の集中豪雨の発生回数や降雨量が増加しており,今後も増加すると指摘されている.また,都市部では限られた土地を有効活用するため,地下街や地下鉄といった地下空間の利用がされるようになった.このため,地下空間を有する都市において内水氾濫が発生した場合には,地上の市街地だけでなく,地下空間にも浸水が及ぶ危険性がある.本研究では,実在する大規模地下街を対象に,想定最大規模の降雨を用いて地上部の内水氾濫解析を行い,地下への流入量をもとに地下街の浸水解析を行った.その結果,地下街全体で広範囲に浸水し,避難が困難になることが示された.また,地下浸水への対策として止水板の設置について検討した結果,地下街の浸水に対する減災効果を得られた.