2020 年 76 巻 2 号 p. I_763-I_768
地球温暖化に伴う大規模水害の発生が懸念されるなか,洪水氾濫を前提とした治水対策の検討とそのリスク軽減効果の評価が必要になるものと考えられる.本研究では,石川県小松市を流れる一級水系・梯川を対象として,複数の降雨波形を入力値とした氾濫解析を実施した.また,既存道路を活用した様々なパターンの氾濫制御施設の設置を想定した氾濫解析を実施し,その氾濫流拡大抑制効果による浸水域の変化について検討を行った.さらに,氾濫解析より得られる浸水深分布を用いて,治水経済調査マニュアル(案)に基づく経済損失の推定を行い,氾濫制御施設の被害軽減効果を検討した.氾濫制御施設を適切に配置することで氾濫流を制御し,住宅街や商業地等の資産が集中する地域の浸水範囲や浸水深を減少させ.経済損失を20%程度軽減できる可能性が示された.