2020 年 76 巻 2 号 p. I_823-I_828
近年,既存のインフラを活用した災害対策の需要が高まっている.特に,ダムによる洪水被害対策においては洪水が発生する前に予めダムの貯水容量を空けて貯留可能な容量を増やす事前放流操作が注目されている.本研究では,深層強化学習を活用したダム操作モデルを使用して予測流入量・雨量情報を活用した事前放流操作の可能性を検討した.モデルによる学習の結果から,深層強化学習を活用したダム操作モデルは予測情報を活用した事前放流操作に応用できることが明らかになった.一方で,事前放流操作と洪水調節操作を一連の操作として学習を行った場合,モデルが選択する行動が1つに収束し,適切な結果を得られない可能性があることは判明した.