2020 年 76 巻 2 号 p. I_985-I_990
平成30年7月豪雨時,岡山県の旭川では大規模な洪水が発生し,分流部では改修後初めて固定堰を超える流れが観測された.設計時点での堰の分流量は実験や解析により検討されているが,洪水の影響で堰周辺では河床変動等が生じ,実際の分流量は想定と異なる可能性がある.また,固定堰周辺の流れは非常に複雑なため,通常の平面2次元解析では流動や河床変動を精度よく扱うことは困難と考えられた.そこで本研究では,新たな試みとして平成30年7月豪雨前後のALBデータを用い,3次元的な植生分布を考慮したポーラスモデルに基づく3次元流数値解析モデルを構築し,洪水流解析を行った.その結果,平面2次元解析や現地観測結果と比較して流況の再現性が良好であることが確認でき,また,現状の植生分布状況であれば計画相当の分流量となる可能性を示した.