2021 年 77 巻 1 号 p. 191-202
令和2年7月豪雨災害では,九州地方や東北地方などで大規模な出水となり,中でも九州地方では人的被害を含む甚大な被害が生じた.一方で,本災害は,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が全国的に流行する中で発生した最初の大規模水害であり,特殊な感染症への対応を継続しつつも,大規模な水害が発生した場合に地域の医療機能をどのように維持していくかが大きく問われた災害でもあった.本稿では,人吉・球磨地方における地域医療の拠点病院に対して令和2年7月豪雨災害での球磨川の氾濫に伴う浸水時の状況と対応についてヒアリングを行った結果を報告するとともに,これを踏まえた拠点医療機関の水害対策の課題と方向性について述べる.