2021 年 77 巻 2 号 p. I_1033-I_1038
近年,既往最大降水量を更新する大雨による洪水氾濫被害が頻発している.そうした豪雨の際には上流側で流失した河道内植生が下流側で捕捉されるなど,洪水中に抵抗が大きく変化する.本研究では,樹林帯に浮遊物が捕捉された状態を大きく3種類に分類し,実樹木と捕捉物をモデル化した水理実験により抵抗特性を調べた.樹林帯前面部で浮遊物を捕捉するI型は局所的な水位上昇に影響し,内部の樹木単位で捕捉するU型は樹林帯による水位上昇影響は大きかった.捕捉物の厚さを倍にした場合,抗力係数はI型の場合は1.2~2.1倍,U型の場合は1.3~1.6倍となった.これは捕捉物内を通過する際に流速が減少するため,後ろ側の抵抗が前側よりは小さくなるが,流速を捕捉物前面で評価しているためである.