2021 年 77 巻 2 号 p. I_1087-I_1092
連結系汽水湖である宍道湖・中海では,将来の水環境の変化に関心が高まっている.そのため,現在(1996–2005年)と将来(2090–2099年)を対象に,両湖沼の水環境の評価を行った.将来気候には,3つのGCMモデルを用い,バイアス補正を行った.その上で,流出モデルHSPFを用いて,流域内の各河川の流量と水温を予測した.また,それらを境界条件とし,湖沼水質予測モデルAEM3Dモデルを用いて,両湖沼の水質予測を行った.その結果,将来は現在と比較し,流域降水量の1–2割の減少,気温(松江)の1.3–4.0ºCの上昇,両湖沼への流入量の約3割の減少が予測された.さらに,宍道湖・中海では,水温については,表層で0.7–2.5ºC,底層で0.5–2.5ºCの上昇が予測された.また,塩分については,宍道湖で約1.8倍になり,中海では底層より表層の上昇が大きいことが予測された.