2021 年 77 巻 2 号 p. I_1195-I_1200
2011年東日本大震災津波の際に東北地方沿岸のGPS波浪計により得られた津波波形をもとに,津波の下での底面境界層に関する検討を行った.数値解析には,これまで様々な流体解析に適用された実績のあるk-ωモデルを使用した.水深に比べて境界層厚さはきわめて薄く,風波の下での底面境界層と同様な速度分布であった.また,flow regimeは滑面乱流から粗面乱流への遷移域に位置する.このため,これまで多用されているマニング式などの定常流摩擦係数では底面摩擦を過小評価していることが明らかになった.そこで,前報において提案した正弦波動摩擦係数を用いて,不規則な津波による底面剪断力を算定するための手法を適用し,その精度の総合的検討を行った.