2021 年 77 巻 2 号 p. I_1387-I_1392
災害に対する強靭な地域社会の実現には,「致命的な被害を負わない強さ・速やかに回復するしなやかさ・減災のための緊急行動」という3つの要素が重要である.平成30年(2018年)7月豪雨災害は,浸水・土砂災害により西日本の事業所に建屋・設備等の直接被害をもたらすとともに,停電,断水や道路閉塞等により広域に渡る間接被害ももたらした.本研究は,広島県・岡山県内の事業所を対象としたアンケート調査により,直接被害・間接被害を受けた事業所の「致命的な被害を負わない強さ」・「速やかに回復するしなやかさ」・「減災のための緊急行動」の実態把握を目指した.回答分析の結果,本社,支社・支店,生産拠点等が同時に被災している事業所が多数あったこと,間接被害のみでも多くの事業所が営業停止しており,断水,物流の途絶,道路の途絶,従業員の出勤困難等の影響が大きかったことがわかった.