2021 年 77 巻 2 号 p. I_1393-I_1398
本研究では,2019年10月台風19号(令和元年東日本台風)豪雨による荒川流域の洪水現象を再現することを試みた.具体的にはまず分布型降雨流出洪水氾濫モデルにより流域全体の洪水現象を再現した.特に,越辺川・都幾川に着目すると流出計算結果は観測を比較的よく再現できた.次に,富岳に実装した浅水流方程式モデルにより,5m解像度で越辺川・都幾川付近に着目した浸水シミュレーションを実施した.結果として,再現された浸水過程は調査結果を一定程度反映しており,控堤による洪水防御効果なども考慮可能であった.その後,気候変動予測情報d4PDFを用いて,荒川の24時間流域平均雨量の世紀末に向けての変動を分析した.これにより,荒川流域では基本的にはさらに降雨が激化することが見て取れた.