2021 年 77 巻 2 号 p. I_1477-I_1482
大規模地震等により複数河川の堤防等が同時に被災した場合,限られた復旧用資機材・人員を適切に配分し,洪水に対する地域の安全性を早急に確保することが,被災地域の迅速な復旧・復興にとって重要である.このため,堤防等が被災した条件での洪水被害想定等を迅速に行うことが,緊急復旧箇所の優先順位の検討等において必要と考えられる.本研究では,被災した堤防等の緊急復旧期間中の被害想定を迅速に行える計算プログラムを開発し,モデル地区において複数の復旧シナリオを設定し,復旧シナリオごとの被害軽減効果を比較した.結果,氾濫発生時の被害の大きさと氾濫発生確率の積の和が大きい箇所から復旧するシナリオの方が,被災後河道の流下能力の小さい箇所から復旧するシナリオよりも,被害軽減効果が大きくなることが示された.