2021 年 77 巻 2 号 p. I_151-I_156
本研究では,山地河川流域において25年分の月別平均流量と複数期間の先行降雨の合計量(先行降雨量)との相関関係を分析し,主に地質の観点から流域間の傾向差を考察した.その結果,低水期においては,特に浸透性の高い火山岩(第四紀)の流域では,他流域より長期間の先行降雨量と流量との相関が高く,浸透性の低い中生界の流域では短期間の先行降雨量と流量との相関が高いという特徴が見られた.さらに,各流域の月別平均流量と先行降雨量,年平均降水量の変化傾向を比較すると,どの流域でも年平均降水量には変化傾向がなかったが,低水期の数ヶ月の流量と,その流量との相関係数が0.6以上となる先行降雨量はともに増加傾向となり,通例用いられる年平均降水量,各月の流量とより相関が強い先行降雨量の変化傾向を比較する有効性が示唆された.