2021 年 77 巻 2 号 p. I_367-I_372
2018年7月に発生した西日本豪雨災害により,倉敷市真備町を流下する小田川及びその支川の末政川,高馬川,真谷川の複数箇所で堤防が決壊し,甚大な浸水被害が発生した.当該地区の堤防決壊の主要因は堤防越流であったが,洪水時に外水氾濫したにも関わらず決壊しなかった箇所もあった.我が国における堤防決壊の要因の殆どが越流によるものであるから,越流による決壊を予測することは重要な課題である.本研究では,当該箇所において堤防決壊に影響を及ぼす物理量を抽出し,洪水解析を用いて外水氾濫による決壊発生の有無を予測できるかどうかを検討した.その結果,堤防決壊前の内外水位差の時間平均値が越流時の堤防決壊の有無を予測する重要な指標となり得ることを明らかにした.