2021 年 77 巻 2 号 p. I_421-I_426
2021年5月,屋外退避だけではなく高所への移動を指示できる「緊急安全確保措置」が追加されたが,前段階である「避難指示」での避難行動選択は依然として住民に委ねられている.特に内水氾濫が発生している状況では水平避難が危険になる可能性がある.本研究では内水氾濫が頻発する筑後川中流域を対象に,洪水および内水氾濫計算を行い,避難場所へ水平避難と自宅での垂直避難のリスクを比較衡量することで,住民がより安全な避難判断をするための仕組みを提案することを目標とした.結果として,エリアごとに水平避難と垂直避難のリスクは大きく異なり,内水氾濫を考慮した場合,局所的ではあるが水平避難リスクの上昇が早まる地域があるなど,エリアごとに適切な避難行動を指示する必要があることがわかった.