2021 年 77 巻 2 号 p. I_427-I_432
流域治水の取り組みが全国の河川で進められている.河川管理者には,本・支川において適切に評価された降雨流出量,河道流下能力,氾濫リスク等を関係者へ提示することが求められる.このためには,観測精度の高い水位データを基にした小流域の流出解析と本・支川一体の洪水流解析による縦断水面形と流量の評価が必要である.本研究では,利根川本川,烏川,群馬県及び埼玉県管理の支川群を一体に扱い,令和元年台風19号の観測水面形の時間変化と洪水流解析法を用いて,観測水面形に解析水面形が合致するように2次支川からの流入量を降雨流出解析により推定した.また,本・支川一体の水面形解析により高精度な1次支川流入量を評価し,本川の流量ハイドログラフの形成特性を説明した.提示した本・支川の流出・洪水流解析の評価法は,一般性が高く,他河川の流域治水の検討に活用可能な情報を与える.