2021 年 77 巻 2 号 p. I_481-I_486
気候変動に伴う土砂災害および洪水災害の将来変化を評価することを目的に,降雨流出と土砂の生産・輸送が統合的に計算できるSiMHiSに,局所的な豪雨が十分捉えられる5km解像度30分間隔のNHRCM05出力データから抽出した豪雨データを入力とすることで,福岡県朝倉市赤谷川と同じ地形・地質を持つ流域で発生する現象の将来変化を考察した.赤谷川流域の流量および土砂生産量を降雨流出タイプ毎に整理した結果,双方の値が将来にかけて顕著に増加する傾向が確認された.また,支川乙石川流域からの土砂流出量と最大流量,および下流河道の最大水位と河床位を同時に比較したところ,各値の増加傾向だけでなく,発生する現象のばらつきも増加することから,これまでと異なる傾向の災害も高頻度で発生しうる可能性が推察された.