d4PDF領域気候モデルと洪水流出解析による流域を俯瞰した洪水規模・頻度の分布特性の分析

抄録

　本研究では，主に中部地方の8河川流域においてd4PDF領域気候モデルを入力値として貯留関数法による洪水流出解析を行った．解析結果をもとに，大河川本川と各支川の洪水規模・頻度の関係性に着目した分析を行った結果，本川の超過洪水の流量と相関が高い小流域の分布には流域ごとの特徴がみられた．気候変動による洪水規模・頻度の変化は，低頻度の極端現象ほど変化倍率が大きい傾向，本川より支川における変化倍率が大きい傾向がみられ，本川よりも支川における超過洪水の発生頻度がより高まる可能性が示唆された．本稿では，大アンサンブル気候モデルと流出解析モデルを組み合わせることによって，気候変動下における各流域の洪水特性を俯瞰的に把握可能であることを示した．