2021 年 77 巻 2 号 p. I_517-I_522
短時間集中型降雨における降雨強度の不規則な時間変動が,地下街エリアへの雨水流入量のばらつきに及ぼす影響を確率論的観点から定量的に解析し,浸水リスク評価に応用する手法を新たに構築する.まず,短時間集中型降雨について,降雨強度の不規則変動を記述する確率モデルを,平均的挙動のまわりの揺動を定常ガウス過程で記述することにより構築する.次に,構築したモデルにより計算機上でハイエトグラフのサンプルを多数生成し,氾濫解析ソフトInfoWorks ICMを用いて各サンプルごとにハイドログラフを生成する.生成されたハイドログラフのサンプルに基づいて流入量のピーク値が従う確率分布形を推定した結果,対数正規分布,ガンベル分布と比較して,ワイブル分布または正規分布がよく適合することを明らかとした.さらに,この結果を用いて地下浸水災害発生確率の推定を行う手法の提案を行った.