2021 年 77 巻 2 号 p. I_523-I_528
近年,気候変動の影響により局所的かつ短時間の集中豪雨の発生回数が増加傾向にある.都市域で集中豪雨が発生した場合,地上のみならず地下空間への浸水の危険性が考えられる.したがって,地下空間が浸水する場合を想定した避難計画を策定することが防災上の重要な課題といえる.本研究では,都市域の市街地に存在する大規模地下空間を対象とし,短時間集中豪雨に伴う内水氾濫を想定した地上・地下空間の浸水解析を行い,地下空間浸水時の安全性を評価した.また,浸水危険箇所に止水板を設置する場合を想定し,浸水軽減効果の評価を行った.さらに,地下空間浸水時の避難解析を行い,避難成功率の向上について検討した.解析結果より,降雨強度の増加により地下空間の浸水リスクが高まり,止水板の設置による浸水軽減の効果が確認でき,避難成功率が向上することが示された.