土木学会論文集B1(水工学)
Online ISSN : 2185-467X
ISSN-L : 2185-467X
水工学論文集第66巻
河川物質動態シミュレーションに基づく環境DNA濃度にて魚類の生物量を把握し得る空間的範囲の検討
小林 勘太赤松 良久中尾 遼平
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2021 年 77 巻 2 号 p. I_553-I_558

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抄録

 本研究では,島根県の高津川の下流域を対象として,環境DNAの由来とされる魚類の糞と粘液(環境DNA含有物質)の流水環境下における動態を複数の流量条件でシミュレーションすることで,河川における環境DNA含有物質の流下距離と,環境DNA含有物質濃度と上流側の生物量との関係を,複数の流量条件で検討した.その結果,環境DNA含有物質の流下距離の限界は,渇水流量時では800m,豊水流量時では1900mであり,流量によって大きく変化した.河川における環境DNA含有物質濃度が魚類の生物量を把握するのに適している距離は,対象種の流程分布や流量によって異なり,アユでは200~700m,カワムツとオイカワでは50~950mであった.また,流量が少ない場合ほど,生物量の詳細な縦断分布を予測できる可能性が示唆された.

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© 2021 公益社団法人 土木学会
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