土木学会論文集B1(水工学)
Online ISSN : 2185-467X
ISSN-L : 2185-467X
水工学論文集第66巻
ダム決壊事例に基づく衛星情報を活用した水文情報不足地域における流出氾濫解析手法の提案
会田 健太郎柿沼 太貴大沼 克弘伊藤 弘之小池 俊雄
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2021 年 77 巻 2 号 p. I_73-I_78

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抄録

 洪水災害は,温暖化による豪雨頻度の増加を背景に世界各地で頻発している.洪水被害を軽減するためには,所要の精度で洪水リスクを評価し,適切な対応策を講じる必要がある.しかし観測網が十分でない地域では,モデル構築に必要な水文データが不足しているのが現状である.本研究では2018年にミャンマーで発生したアースダムの決壊による氾濫事例を対象として,ダム流入量とダム貯水位の変化およびダム決壊による下流域の氾濫を解析する流出氾濫モデルを構築した.そして世界中で入手可能な衛星データを用いて降雨の時空間データ作成と浸水域抽出を行い,氾濫状況の再現性を検証するとともに、各地のアースダム下流の危機管理に資することを目的に、確率規模降雨ごとの氾濫想定方法を提案した.その結果,水文データが乏しい地域でもダム決壊時の危機管理に有用な浸水域の想定が可能であることを示した.

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© 2021 公益社団法人 土木学会
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