2021 年 77 巻 2 号 p. I_811-I_816
水道弁として設計されたリンクスリーブ弁をダム放流設備に適用するため,キャビテーション抑制を目的として給気した場合の流量係数,弁下流側の圧力分布と流れの状態,吸込み空気流量の特性,弁内圧力分布及び弁内に負圧が生じない許容流速を明らかにする目的で実験を行った.その結果から,空気流量については水-空気系のジェットポンプとの類推に基づき,噴流による連行係数と下流管内の逆圧力勾配による帰還流係数を実験的に求めた.また,弁内圧力分布を計測し,弁内圧力水頭と上流側速度水頭が比例関係にあることを確認した.このことから,実用上,弁下流の圧力は負圧であるものの,大気圧に近い状態が保たれ,流量増加は有効水頭の増加により生じるため,弁内に負圧が生じることはないと予想され,流速の許容値は設けなくとも良いと考えられる.