2021 年 77 巻 2 号 p. I_817-I_822
近年,既設水力発電所の有効活用の取組みの一つとして低水位運用が行われている.低水位運用では,これまでの貯水池の水位よりも低い水位で運用を行うことから,取水管の被り水深(管中心から水面までの距離)が不足し空気吸込渦の発生が懸念される.本研究では水力発電所の水平取水設備に着目し,被り水深の空気吸込渦に及ぼす影響を明らかにするために,模型実験において,流量,水深を一定に保ち,水平管の内径を一定として被り水深を変化させた場合の流れ場の変化について検討した.その結果,水平管の内径が大きい場合については,水平管上端が取水路水深の半分を超えると,被り水深よりも水平管上端から水面までの距離の方が,渦の発生規模や発生回数の増加の要因になることなどが明らかになった.