2021 年 77 巻 2 号 p. I_823-I_828
河床や湖底の沈木によるダムの常用吐きの閉塞事故が報告されている.一方で,沈木の発生メカニズムや掃流特性についてはほとんど解明されていない.そこで本研究では,水路実験による沈木の限界掃流力に関する定量評価を試みた。実験では沈木模型のサイズ,密度,初期設置角度を系統変化させて,これらと限界掃流力の関係を整理した。また移動床実験も行い,沈木の初期埋没深さが限界掃流力に及ぼす影響を調べた.さらに,レイノルズ数と補正関数を用いて,計測した無次元限界掃流力を普遍表示することができた.最後に掃流沈木の停止条件を水路実験によって考察し,裾花ダムの湖底で観測された沈木群の分布特性を説明した.