2021 年 77 巻 2 号 p. I_895-I_900
都市感潮河川で発生するスカムの早期検知および挙動把握のためには,定点カメラを用いた連続モニタリングが有効である.既往研究によりU-Netを用いたスカム検出技術が開発されているが,学習に必要なラベル画像の作成に多大な労力と時間を必要とすることが,複数地点への適用を困難にしている.本研究では,ダミー画像を用いた新たな学習方法を開発し,適合率,再現率,F値およびmIoUを評価指標として,従来手法との比較により有用性を評価した.その結果,従来手法に比べてラベル画像の作成労力を大幅に削減するとともに,より高い精度でスカムを検出することに成功した.この手法を用いることで広範なスカムの時空間挙動の把握が可能となり,またスカム以外の浮遊物にも適用することで,河川ごみの連続モニタリング技術として汎用的な利用が期待される.