2021 年 77 巻 2 号 p. I_937-I_942
固有直交分解と離散型経験的補間法を用いて縮約型の洪水氾濫モデルを開発した.まず,差分法で離散化した局所慣性方程式に,固有直交分解の基底の線形結合で表した状態量を代入し,基底の係数の時間発展式を得た.つぎに,離散型経験的補間法を用いることで,この時間発展式に含まれる非線形項の効率的な評価を組み込んだ縮約型洪水氾濫モデルを導出した.このモデルを検証するために,仮想的な領域・計算条件のもとに洪水氾濫計算を行った.その結果,縮約型洪水氾濫モデルは元の洪水氾濫モデルによる計算結果をある程度再現できること,計算条件によっては元のモデルによる結果との差異が大きくなることが明らかとなった.また,今回の条件に対する縮約型洪水氾濫モデルの計算コストは,元のモデルの半分以下であることが明らかとなった.